禁酒をして肝臓を守る

禁酒をすることは、肝臓を守ることに直結します。肝臓は、摂取した各種の栄養素から体の各器官で利用可能な物質を生成する代謝機能や、消化器系に必要不可欠な胆汁の生成などのほか、有害物質を分解して無害な物質に変化させる解毒機能も担っているきわめて大切な臓器です。人体にとって本来有害な物質であるアルコールも、肝臓によってのみ分解することができます。しかし、アルコールの分解は肝臓にとって大きな負担であり、禁酒することがその負担軽減となって、肝臓を守ることにつながります。

飲酒をして血液中に溶けこんだアルコールは、肝臓に流れこむと、肝細胞のもつ複数の酵素によって直ちにアセトアルデヒドという別の有害物質に変化します。生成されたアセトアルデヒドは、通常、肝細胞のもつ別の複数の酵素によってまた変化し、無害な酢酸となります。その酢酸は、最終的にエネルギー源として消費されることにより、水と二酸化炭素となって体外に排出されます。

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アルコールのもつ有害性は、このアセトアルデヒドへと変化することで発揮されます。飲酒したときに顔が赤くなることや、頭痛や吐き気がするのは、アセトアルデヒドの直接的な悪影響です。特に日本人は、約半数の人がアセトアルデヒドを分解する酵素の一部を持っていないか少ないため、アセトアルデヒドの相当量が未処理のまま肝臓の外の血液中に溶け出してゆき、不快な酔いを感じることになります。

肝臓で処理し切れなかったアセトアルデヒドは肝細胞をも破壊することになり、さまざまな肝臓の疾患を生み出します。急性肝炎、肝線維症、肝硬変などです。また、肝臓は中性脂肪の処理も担っているため、大量の飲酒で肝臓がアルコールの分解に忙殺されていると、中性脂肪が処理されないまま肝臓内に蓄積されます。これが、脂肪肝です。しかし、このようなアルコールが原因で発症した肝炎や脂肪肝なども、ほとんどの場合、禁酒することで治癒することが出来ます。アルコール依存症患者の場合も、飲酒の誘惑を断ち切ることが出来れば、かなり確実に健康な肝臓を取り戻すことが出来ます。

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