アルコール依存症の治療
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アルコール依存症の治療法は、断酒を実行し、それを継続すること以外にありません。ただし、アルコール依存症は"不治の病"です。断酒を続けて、日常的に飲酒の欲求を感じることがなくなったとしても、ほんのわずかな量の酒を一度口にしただけで、やがて元の連続飲酒の状態に逆戻りしてしまいます。一度アルコール依存症に陥った人は、生涯、断酒の決意を忘れずに続けてゆかなければなりません。
しかし、断酒をするためには、患者本人に自分がアルコール依存症であることを自覚させる必要があります。意外なことに、多くの患者は自分の病状を自覚していながら、医師から病名を聞かされても、それを認めようとはしません。心も体もアルコールを必要とするように変化してしまっている患者にとって、それこそ恐ろしい「依存性の罠」と言えましょう。飲酒を続けることを何とか合理化したいと願う患者を説得して、自分が危険な病状にあることを自覚させ、今すぐ断酒しなければならないことを納得させるところから治療が始まります。
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また、多くの患者には家庭があり、家族と一緒に生活しています。一時的に入院することがあっても、やがて再び家庭生活に戻ります。家族の協力がなければ、大抵の患者は再び飲酒に逆戻りしてしまいます。そのために、患者本人だけでなく、家族にもアルコール依存症に対する理解を深めてもらうとともに、患者が飲酒を再開するきっかけとなるような家庭環境をなくし、患者の離脱症状(いわゆる禁断症状)との闘いをサポートしてもらわなければなりません。家族には、患者が飲酒の誘惑に負けそうになっても、心を鬼にしてその願いを拒絶あるいは無視し、酒を手に入れようとしたときには、それを制止するだけの覚悟が必要です。
なお、医師による治療には薬品も使用されますが、それはアルコール依存症を解消する特効薬ではありません。服用して数日から1週間はアルコールを少量でも口にすると激しい不快感に襲われる抗酒薬や、重い離脱症状への対症療法として幻覚・妄想を抑える薬などが使用されます。
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